読書のお悩み相談室

読書に関するお悩み相談や読んだ本の記録などを書いています。

海外文学

【感想】ヘルマン・ヘッセの短編集『メルヒェン』より『詩人』を読む。

祖父母が生まれた村 自然と溶け合う 『詩人』が書かれた時代 メルヒェンの意味 祖父母が生まれた村 私の祖父母が生まれたのは九州山脈の奥、川に沿って、国道がS字を描きながら奥に伸びていました。 村のバス停からまた細い道を右に左に折り重ねながら登り…

ジョルジュ・サンド(著)『愛の妖精』を読む。

ジョルジュ・サンドの名前は聞いたことがありました。しかし、一冊も読んだことがありませんでした。そもそも、この名前は、男性?女性? ジョルジュとはフランス語でジョージのことなので、この名前は男性の名前です。じゃあ、この人は男性かというと違うの…

トーマス・マン(著)『トニオ・クレエゲル』を読む。

『トニオ・クレエゲル』という書名は人物の名前です。トニオはその音の並びが少し日本語の名前のようでもあります。有名な作家はこのトニオという名前を自分の名前にしています。北杜夫です。トニオ→杜夫です。北杜夫はこの小説の作者トーマス・マンの大ファ…

ドストエフスキー(著)『罪と罰』を読む。

『罪と罰』の感想を書くことはとても難しいです。何が難しいのでしょう。それはこの小説をどのように読むかによって大きく変わってくるからです。 刑事コロンボのような探偵物としてどのように犯人を追い詰めるかを考えながら読むこともできます。その一点だ…

シュタイナー(著)『自由の哲学』を読む。

シュタイナーの本は何冊か読んだことがあるが、どれも難しくて理解するのに時間がかかった。これらの著作の原点と位置づけされているのがこの『自由の哲学』。著者が32歳の時。1894年の初版だが、この文庫本は1919年の新版に従っている。 著者は人間の自由と…

宇野邦一(著)『ジュネの奇蹟』を読む。

日本のフランス文学者によるジャン・ジュネに関する評論。著者が日本人だからこそ私たちが知ることができるジュネと日本との関わりがとても興味深い。 ジュネが日本を訪れたのは1967年。ビートルズが日本に来た翌年のことだ。ジュネはその時初めて日本語を聞…

サルトル(著)『聖ジュネ』を読む。

とうとうサルトルの『聖ジュネ』の読後感想を書くことになった。ネットで探してもこの本の感想は極めて少なく、私の文章が公開されて読まれることを想像すると少し緊張している。 上下巻二冊を重ねて測ってみると五センチ。ページをめくると内容は哲学書で、…

田部重治(選訳)『ワーズワース詩集』を読む。

国木田独歩に関する評論集を読んでいると、しきりにワーズワースの名前が出てきます。ワーズワースはWordsworthと綴ります。十九世紀初頭に作品を発表したイギリスの詩人です。 不思議なことに、日本では最近自然について語る機会が少なくなっています。日本…

カロッサ(著)『ルーマニア日記』を読む。

日ごろ通っている古書店で岩波文庫の棚から選んだ数冊の中の一冊。この本をなぜ選んだのか。ただ目に入った程度なのだが、いつも不思議に思うのは、私が手に取る本はすべて名著なのだ。冷静に考えれば岩波文庫に入るくらいだから名著に決まっている。それを…

ディケンズの『クリスマス・キャロル』を英文で読む。

久しぶりに英語の本を読みました。ディケンズの『クリスマス・キャロル』です。有名な小説なので「私も読みました」と言われる方も多いと思います。 私は初めてでした。ですから、既に読んだことのある本を英語で読んだわけではないのです。最初から手探りの…

ヘルマン・ヘッセ研究会(編・訳)『ヘッセからの手紙・混沌を生き抜くために』を読む。

世の東西を問わず、書簡集はいろいろありますが、この『ヘッセからの手紙・混沌を生き抜くために』はとても重い充実した書簡集です。 例えば太宰治にも書簡集がありますが、金の無心など生活感たっぷりの内容です。それに比べてこの書簡集は第一次世界大戦の…

ヘルマン・ヘッセ(著)『デミアン』を読む。

ヘルマン・ヘッセの小説は日本では『車輪の下』が有名ですが、これは日本だけの現象だそうで、世界ではこの『デミアン』を読む人がたくさんいるのです。第一次世界大戦後の若者たちに長く読み継がれている小説です。 ヘルマン・ヘッセは学生時代に自殺を企て…

ヘルマン・ヘッセ(著)『車輪の下』を読む。

ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』はもうずいぶん長い間、積ん読の状態になっていた。 『車輪の下』というタイトルから受ける印象はどこか牧歌的だなあと、私は勝手に解釈していた。このような感じを受けているのは私だけなのかもしれないと思うと、恥ずかしい…

ゴーリキー(著)『母』を読む。

この本は市立図書館の無料お持ち帰りのボックスの中にあった。ぱっぱと五、六冊ほど取り出した中の、上下二冊。よく見ると表紙に「岩波版ほるぷ図書館文庫」と表記してある。つまりほるぷ出版が図書館向けに売り出した岩波文庫であろう。有難いことに文庫本…

オスカー・ワイルド(著)『獄中記』を読む。

世の中には年間に千冊読むのだと豪語する人もいるし、一冊を読み返しながらゆっくりと読む人もいる。もう一度読もうと思う本もあるし、二度と読まない本も数多い。もう一度読みたい本、手元に残しておきたいと思う本とはどんな本なのか。それは作者と読者の…

ジャン・ジュネ(著)『泥棒日記』を読む。

なぜ私は、このジャン・ジュネの『泥棒日記』を手に取り、積ん読せずに読み、そしてこんなに感動しているのか。その理由がわからない。私の目の前を幻の蝶が飛び、その蝶の羽のかすかな動きが私の無意識の何かに伝わったのだろうか。それともこの地球をも包…

宇治川英郎(訳)『リルケ詩集』を読む。

長編小説を読んでいて、どうしても気分が乗らない時があります。そんな時、皆さんはどうしていますか?一番良い方法は、本を閉じて目を休めることなのでしょうが、不思議なことに、また新たな本を手に取ってしまいます。 いろいろな方法があると思います。例…

ジャン・ジュネの戯曲『女中たち』を読む。

ジャン・ジュネの『女中たち』は登場人物が、姉と妹の二人の女中たちと、奥様の三人だけの一幕の戯曲です。作者はジャン・ジュネです。ジャン・ジュネは私生児として生まれ、生後七ヶ月の時に捨てられました。その後、犯罪を繰り返し、ついに終身刑を宣告さ…

ブレヒトの戯曲『第三帝国の恐怖と貧困』を読む。

都会には小劇場がたくさんあって、それぞれ特徴のある舞台が観客の目の前で演じられていることでしょう。しかし、私の住む地方都市では演劇を見る機会は極めて少ないのです。しかも、このブレヒトの『第三帝国の恐怖と貧困』が近い将来、私の町で上演される…

ブレヒトの戯曲『「肝っ玉おっ母とその子供たち』を読む。

戯曲は独特な文学です。 小説も映画になるので、映像として見ることができます。しかし、戯曲は舞台になります。戯曲は舞台のために書かれているのです。その意味では戯曲ほど行間を読む必要のある文学はないでしょう。その行間の向こうに演技する人たちの表…

チェーホフの戯曲『桜の園』を読む。

ようやく、私のあこがれであったチェーホフの戯曲『桜の園』を読みました。今まで私が想像していた桜の園、そして多くの日本人が私と同じように考えていた桜の園と、この戯曲の本当の姿はまったく異なっていました。 その最大の原因は、太宰治にあると思いま…

チェーホフの戯曲『ワーニャおじさん』を読む。

「もうやってられないよ」「どうした?」「妹のだんなが、俺んちの土地を売って、株に投資したほうがいいって言うんだ。米や野菜を作っているくらいなら、そのほうが儲かるっんだってよ」「この前、お前んちに引っ越してきた、あの夫婦のことか」「そう、突…

トゥルゲーネフ(著)『初恋』を読む。

私は、新刊書はほとんど読みません。なぜなら古典と言われている小説はまだまだ無数にあり、読みたい小説がたくさんあるからです。それに何よりも価格が安いからです。世界の(当時の)ベストセラーが一冊百円で読めるのですから、こんなにありがたいことは…

エミール・ゾラ(著)『ナナ』を読む。

この小説の主人公、ナナの母親の物語である『居酒屋』を読んだ後、その迫力に圧倒されて、直後にその続編である『ナナ』を手に取ることができず何週間か過ぎましたが、ようやく読み終わることができました。 それにしても、どうしてみんな「ナナ」が好きなん…

ゲーテ(著)『若きウェルテルの悩み』を読む。

古書店を訪れる度に気になっているが購入するには至らず、誰かが持っていき、見かけなくなれば忘れてしまうのだが、いまだに同じところにある。『若きウェルテルの悩み』はそんな感じで私と出会った。 きっと青春時代に読んだことがあるのだろうがまるっきり…

リンドバーグ夫人(著)『海からの贈物』を読む。

著者のリンドバーグ夫人の本名はアン・モロー・リンドバーグ。あの太平洋横断を成し遂げたリチャード・リンドバーグの夫人で、自らもパイロットの免許を持っている。 その「空」に大きく関係している女性が、なんと「海」のエッセイを書き、発表した1955年に…

ジャック・ロンドン(著)『白い牙』を読む。

小説が、心の襞の動きをたくましい想像力で理論的に築き上げ、物語を描き出すものであるなら、その対象は何も人間だけでなく、動物でもよいのである。 作者のジャック・ロンドンが動物の心理小説を書き始めた動機が、このようなものであったかは定かでないが…

リルケ(著)『マルテの手記』を読む。

何十年も前のことを思い起こしてみると、ああ、あの女性はそういえば『リルケの詩集』を読んでいたなあと、かすかな記憶がよみがえる。 なぜこの年齢になって青春の香りのするリルケを読んでいるのか。それはこの有名な詩人について何も知らないと思ったから…

レーモン・ラディゲ(著)『肉体の悪魔』を読む。

そもそも……のっけから、そもそも論で申し訳ないが、しかも、イケメン・ラディゲを好む女性には酷な話かもしれないが、小説家ラディゲはプロモーションによって作り上げられたフランス文学界のアイドルでしかないのではないか。そもそも……ラディゲを有名にし…

レーモン・ラディゲ(著)詩集『燃える頬』を読む。

『レーモン・ラディゲ全集』より詩集『燃える頬』を読む。 私は読みたい本はネットで購入することにしている。傍線を引きメモを書き込みながら読むからだ。だから書き込みできない図書館の本を借りることは滅多にない。その滅多にないことを、なぜ私はしたの…

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